特集 第三者評価を活用した継続的な質改善への取り組み
リスクマネジメントとISO9001のシンクロ・ワーク
宮川 操
1
,
大岡 裕子
1
1徳島大学病院
pp.921-925
発行日 2004年11月10日
Published Date 2004/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100566
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はじめに
リスクマネジメントは,医療の質の保証において必須条件であり,社会的にも医療の安全性の確保が強く求められている。当院では2002年4月に安全管理対策室が設置され,室の活動として医療事故を防止し,安全な医療を提供するための組織づくり,システムづくりに取り組んできた。
2003年6月に看護部がISO9001を取得したが,この過程において,安全管理対策室は「活動としてのシステムは出来上がっているが,記録上で確認しにくい」という指摘を受けたため,安全管理に関する仕組みの整理と記録の整備に取り組んだ。
ISO9001は,「顧客」に対して「製品」の「質」を保証するためのひとつのシステムモデルである。医療において「顧客」は「患者および家族」とされる。「製品」の定義として,上原鳴夫らは「医療機関が提供する製品とは,症状,機能,病態の改善を目的として患者の心身に加えられる医学的知見に基づいた介入のアウトプット(あらかじめ診療目標として表現され,さまざまな医療プロセスの集合的な結果として実現されるもの:意図された状態変化などの医学的側面)およびその過程で提供される付帯サービス(わかりやすい説明,迅速な対応,プライバシーの尊重などの非医学的側面)の総体である」としている。「質を保証する」とは,「顧客要求を満たすこと」である,1)。これらをふまえて,リスクマネジメントの視点でISO9001取得の取り組みを振り返ってみる。
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