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筆者が,ISO(International Organization for Standardization)9001品質マネジメントシステム審査員(JRCA登録)として活動して,今年で4年目となる.約20年間,臨床検査技師をしていたが,現在は個人事務所の代表であり,ISO9001審査ではノルウェーに本拠を置く審査登録機関であるDNV(Det Norske Veritas)との契約に基づき活動している.
まず,「医療におけるISO9001」審査員とは,何をしているかについて述べる.筆者の審査員としての専門分野は医療・社会事業であり,これまでにDNVの指令に基づき,病院,介護施設,臨床検査センターなどのISO9001認証を行ってきた.これらの施設は,九州から北海道まで,日本全国に分布しており,施設の規模によって,一人で行くこともあれば,審査チームを組織し複数で行くこともある.審査の際,審査リーダー(主任審査員)の最初の仕事は「文書レビュー」といって,組織の「品質マニュアル」にISO9001の要素が網羅されているかをチェックする.その後,初回訪問をし,被審査組織の活動を把握し,本審査でメンバー審査員をどの部署に何時間割り当てるかといった審査プログラムの作成をする.本審査は,おおむね2~3日間を要し,病院の審査であれば,経営者,医局,手術室,中央材料部,病棟,臨床検査,放射線,薬局,厨房,医事課といった院内の全部署を訪問する.各部署で,ISO9001に基づく活動が行われているかどうかを,業務文書を基にインタビューと実施状況とを調査して確認していく.ISO9001は顧客満足を実現するための規格であるから,審査員は病院の顧客すなわち「患者」の代理人の立場で各部署を廻らせてもらい,問題があれば指摘事項報告書を作成する.指摘事項報告書には,審査終了までに必ず相手側の署名をもらわなければならない.この間,リーダーはメンバーの審査所見を総合的に取りまとめ,審査報告書を作成する.不適合が是正できた段階で,審査リーダーより審査登録機関へISO9001の認証推薦ということになる.ISO9001審査が病院機能評価の審査と違うところは初回審査以降も半年ないし1年おきに定期審査があり,継続的に維持されているかを再訪問して確認する点である.
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