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はじめに
横浜市立市民病院(以下,当院)看護部では1999(平成11)年度から,看護師が入院患者に提供した看護量を示すツールとして独自の看護度を作成し,個々の看護師長が担当部署の看護業務量の把握,あるいは業務量と超過勤務の関連を考察するデータとして活用していた。しかし,看護度にあわせた看護師配置を考えるなど,データを有効に活用するまでには至らなかった。2003(平成15)年には,この看護度を継続して使用するかどうかの検討が行なわれ,看護を必要とする患者に適切に看護が提供されているかをはかることができるようなツールを模索していた。
このようななか,2003年4月にICUで重症度評価,2004(平成16)年4月からはHCUで重症度・看護必要度評価が取り入れられた(当院ではHCUは設置されていない)。これにより,今後も看護必要度を用いた評価が診療報酬にも反映されるものと予測されたため,同年9月より,入院患者に対する看護必要度導入について検討する看護必要度プロジェクト(看護師長6名により構成)を設置した。しかし,看護必要度と当院従来の看護度との違いを理解し学んでいくなかで,看護必要度は部署の繁忙度を示すものではないこと,また,看護必要度評価を実施しても,看護度と同様,有効活用ができないのではないかという不安,さらにはデータの活用の仕方によっては看護師削減につながるのではないかと危惧する声もあり,このときはプロジェクトメンバー間でも看護必要度導入に積極的ではなかった。
そこでプロジェクトでは,看護必要度を正しく理解するために,2004年10月に「看護必要度について」というテーマで外部講師に講義を依頼することにした。この講義を通して,今後,看護の質を確保し,それに見合った人員配置を考えていくためには,看護師の繁忙度ではなく看護を必要としている患者に対して看護師を配置するということを前提に考えなくてはならないことを理解した。しかし筆者としてはやはり,看護必要度評価項目だけでは繁忙度が表われないという思いが残った。
この段階をFirst Stageとして,看護必要度の理解と試行に至る段階のSecond Stage,そして2006(平成18)年7月現在,全職員を対象とした評価者育成と,看護必要度を全部署に導入するThird Stageとしての,活動を続けている(図1)。
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