特集 年功給は崩せるか
職能給導入に向けて
渡辺 明良
1
1聖路加国際病院人事課
pp.636-641
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903583
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少子高齢化や経済成長率の低迷,物価の下落など,日本経済や社会構造の変化の中で,一般企業における賃金制度では,「ベースアップ」は既に死語になり,「定期昇給」ですら確保が難しい状況となっている.このため,右肩上がり経済に裏打ちされた「年功序列型賃金」は既に崩壊し,各企業は既成の概念にとらわれずに,独自の経営システムを模索する中で,人事賃金制度の改革が各所で進められている.この流れは成果報酬を重視する方向性と,賃下げの方向性とに大きく二分されていることが各種報道などから読み取れる.
一方,医療業界では,2年に1度の診療報酬改定によって基本的には右肩上がりの成長が確保されていたことから,多くの医療機関において年功序列型の賃金制度が当然のごとく運用されてきた.しかしながら,平成14年度の診療報酬のマイナス改定によって,その神話も崩壊せざるを得ない状況へ医療業界も突入したことが,一般企業の事例からも示唆されたのである.
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