連載 私のこだわり看護管理 パート2 〈看護現場学〉クオリア創造に向けて・最終回
最終章:クオリア創造
陣田 泰子
1
1聖マリアンナ医科大学病院
pp.1030-1031
発行日 2005年12月10日
Published Date 2005/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100283
- 有料閲覧
- 文献概要
最終回を迎えた今回,まずは本連載のタイトル「クオリア創造に向けて」の「クオリア」について説明しよう。クオリアという言葉に私が初めて出合ったのは,養老孟司・茂木健一郎両氏の対談『スルメを見てイカがわかるか!』(角川書店)のなかであった。「クオリア」という概念を見出した茂木氏は,脳科学者で,ソニーコンピュータサイエンス研究所の研究者でもあり,脳科学,認知科学を専門として脳と心の関係を追究している。
クオリアとは,「質」や「状態」を表わすラテン語である。科学が発達してさまざまなことが解明されてきたが,最大の不思議は,物事をごく当たり前に感じているような人間の「心のあり方」であり,これこそ実は現代科学がいくら頑張っても解くことが難しく,神秘に満ちているものであるという。その「心のあり方」は,私たちが物事のさまざまな質感=クオリアを通して世界を感じていることであるともいう。クオリアは,科学がこれまで研究の対象としてきた,物質の長さ,重さ,速さのように数字で表わすことができないが,「心のあり方」の謎を解く手がかりなのである。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.