Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「アイリス」―人生最終章にアルツハイマー病が忍び寄る
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.491
発行日 2003年5月10日
Published Date 2003/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100773
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アルツハイマーがすぐそこにある病気になってきた.現在の医学では治すことはできず,症状は日に日に深刻さを増していく.介護する側もただただその困難に向き合うだけであり,どんな事態も受容できる“広い心”でしか付き合う術がない.もちろん,私の高校時代の恩師が『和子 アルツハイマー病の妻と生きる』(後藤治著,亜璃西社)で書き記したように,それまでの人生で培ってきた人のネットワークに依拠しながら,より質の高い生活を創り出していくという,いわば創造型の路線もある.映画でいえば「折り梅」がこれに当たる.
ということで受容型の秀作「アイリス」(監督/リチャード・エア)である.本作はアルツハイマー病に冒されてしまった妻と夫である自分の現在の境遇を受容するというものではなく,妻と自分の人生の全過程を受容していくという,木下恵介でいえば「永遠の人」のような人生末期の和解を描いたもの.
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