コーヒーブレイク
最終講義
M.Y.
pp.930
発行日 1987年7月1日
Published Date 1987/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204216
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大学では,教官(員)が停(定)年退官(職)する際に,その大学における最後の講義を最終講義といって,大学にとっても,また教官本人にとってもたいへん重要な行事とされている.その内容はまちまちで,教官が大学生活を通じて行ってきた自らの業績を紹介することもあり,またその専門領域における展望など総説的に述べることもあって,聞く方にとってもたいへん興味深いものである.
私はこの3月末をもって,東京大学を停年退官した.停年とは一般には定年と書かれるが,ある年齢に達した場合に,そのことだけを理由として職務から退かせる一定の年齢をいう.私ども公務員には,国家あるいは地方公務員法があり,従来はその法律に定められた一定の事由に該当する場合以外は,本人の意志に反して免職されないという身分保障の大原則があり,裁判官や検査官,公正取引委員会の委員および国公立大学の教員と自衛官をのぞくと,一般的な定年というものはなかった.しかしここ数年前から,公務員にも60歳定年制がしかれることになったのはご承知のとおりである.東京大学の教官は60歳停年制をしく唯一の大学である(国公立大学教員と自衛官の場合は法律では停年という用語を用いている).満60歳に達した年度末に退官ということで,だいたい2月か3月に最終講義が行われる.
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