連載 看護部長のバーチャルコーポレーションで患者の安全を守る――赤十字医療施設看護部長会の取り組み・7
看護係長の他施設間交流研修―赤十字医療施設九州ブロック看護部長会の取り組み
秋吉 信子
1
,
前田 久美子
2
1大分赤十字病院看護部・赤十字医療施設九州ブロック看護部
2前大森赤十字病院看護部
pp.242-248
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100046
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はじめに
今日,医療情勢は大変に厳しい状況であり,病院組織や経営のあり方の変革が迫られている。そのなかで,病院組織において最大職員数を抱える看護部門の果たす役割は大きい。経営と人材育成は車の両輪といわれるように,組織において看護部門が効果的に機能していくためには,人材育成は欠くことのできない課題である。
赤十字医療施設九州ブロック看護部長会(以下,九州ブロック)では,重点目標「患者の安全を守る組織づくり」に向けて「人材育成」をテーマとして取り組んだ。
看護部門の効率的,効果的な運営は,中間管理者の役割遂行に大きく左右されるといっても過言ではない。特に看護係長は,看護師長を補佐し成果目標の実現に向けてサポートする立場にある。看護部門の効率的,効果的な運営の推進者として,また看護実践の役割モデル,管理者とスタッフのパイプ役としての役割遂行が期待される。
看護係長教育について九州ブロックでは,「問題解決法」「看護理論」など,知識の修得に重点を置いた看護係長研修を数年間実施した経緯がある。看護係長は,この研修を職場での役割遂行に活かし職場の活性化をめざしてきた。しかし従来の研修の課題として,基本的管理能力1)のなかで,問題形成・計画・評価・意思決定各能力が低い傾向(表1)にあり,問題発見や問題解決能力の強化が必要と思われた。しかし施設内では経験的に現状を認知し対比することは難しいと思われ,そこで,他施設を活用した交流研修を企画し,実施した。アンケート調査などをもとに,看護係長の他施設間交流研修は有効であるものと考えられたので報告する。
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