焦点 看護研究と倫理
研究発表・論文公表時の倫理的配慮と研究者の倫理
稲岡 文昭
1
1日本赤十字広島看護大学
pp.125-130
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900602
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はじめに
過去10数年来,筆者は,看護系学会発表抄録の査読や看護系学会誌および関連学会誌への投稿論文の査読に携わってきた。また数種の学会誌の編集委員もしくは編集委員長として編集作業にも参加してきた。この間,多くの論文に接するなかで研究対象者への倫理的配慮に欠けるものから,研究者としてのモラルを疑いたくなる論文まで,さまざまな抄録や論文に遭遇してきた。
ところで,倫理とモラルについて,両者は同じ意味であるとする見方(工藤,1993)から,両者には相違点を認めながらも,個あるいは集団がとる行為の基準であるという点で同じ意味であるとする考え方(香春,1997),倫理は普遍的に定められた一定の基準のようなもの,モラルは人の善悪に対する判断の源にあり,その人が有する哲学的な信念のようなものと暫定的に規定して使い分けしているもの(黒田,1997)までさまざまである。
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