焦点 看護研究と倫理
看護教育者の課題—研究倫理からの問いかけ
野嶋 佐由美
1
1高知女子大学
pp.119-124
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900601
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はじめに
生命ある者を対象として研究する限りにおいて,倫理の視点は欠かせない。各国の看護協会の「倫理規定」では,看護者は看護ケアの質の向上にむけて看護研究を推進するように看護研究にコミットメントすること,ケア対象者のみならず研究対象者に対して,その人らしさ,人間の尊厳を尊重するように倫理的な配慮を行なうべきことが唱えられている1,2)。すなわち,看護者は専門職として,看護研究の推進と倫理的配慮にコミットメントしていると言えよう。
歴史的にみれば,研究に関する倫理が十分考慮されなかった時代から,いくつかの教訓を得て研究に関する倫理の感受性が高まり,具体的な研究の倫理ガイドラインが提示されるに至っている。看護界においても,アメリカ看護婦協会の「臨床や他の看護研究のための人権擁護ガイドライン」3)や国際看護婦協会の『看護研究のための倫理のガイドライン」4)が発表されている。また,看護学の学問的発展とともに看護研究方法も進歩し,研究に関する倫理的配慮のあり方も時代と共に発展してきてはいるが,倫理に関する課題が減少するわけではない。したがって,我々は絶えず,よりよい方向に向かって,倫理的課題が解決するように努力し続けていかなければならないだろう。看護教育者としては,状況の変化を越えて,倫理的判断を行なうことができる看護者・看護研究者を育成していくことが重要な課題である5-9)。
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