焦点 痴呆性老人の看護に関する研究
研究
施設に入居した痴呆老人の徘徊行動の分析
小泉 美佐子
1
,
大塚 理香
2
,
難波 悦子
2
,
加藤 典子
3
1自治医科人学看護短期大学(老人看護学)
2自治医科人学看護短期大学大学大宮医療センター看護部
3自治医科人学看護短期大学大学附属病院看護部
pp.215-223
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900345
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痴呆老人の徘徊行動の特徴を把握するために施設の痴呆老人の中から徘徊-非徘徊の10組の組み合わせを作り,24時間の行動観察を行ない,量的・質的な行動分析を行なった。
その結果,①徘徊群の歩行出現率は20.9%,非徘徊群5.5%で有意差がみられた。終日徘徊の1名を除き激しい徘徊はなかった。②歩行は早朝,夕方,食事やお茶の前後などの自由時間に多くみられた。③徘徊行動の分析から探索行動,勤勉行動,無目標指向行動,緊張発散行動の4タイプを類別した。徘徊が生じる背景には,認知障害の他に痴呆老人がもちやすい存在不安,長年の職業的習慣及び生活習慣,何らかのストレスや緊張の影響,環境上のきっかけが推察された。無目標指向タイプを除いて徘徊は痴呆老人にとって固有の意味があるといえる。一方,無目標指向タイプの場合,認知障害の進行がうかがえた。
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