Japanese
English
研究と報告
老人保健施設入所者における骨量・運動機能と痴呆・徘徊との関連について
Relation of bone mass, motor function and dementia, wandering in geriatric health service facility.
秋元 博之
1
,
江西 一成
2
Hiroyuki Akimoto
1
,
Kazunari Enishi
2
1弘前大学医学部保健学科理学療法学専攻
2星城大学リハビリテーション学部理学療法学専攻
1Department of Physical Therapy, School of Health Sciences, Hirosaki University
2Department of Physical Therapy, Seijoh University School of Care and Rehabilitation
キーワード:
骨量
,
運動機能
,
痴呆
,
徘徊
Keyword:
骨量
,
運動機能
,
痴呆
,
徘徊
pp.159-162
発行日 2005年2月10日
Published Date 2005/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100045
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はじめに
高齢者の骨折の受傷原因としては,骨量の減少や運動機能の低下,転倒回数の増加,痴呆,徘徊などが知られている1).大腿骨頸部骨折の90%以上は骨量が低下した高齢者が転倒することにより発症する2)と言われている.転倒のリスクには運動機能の低下や徘徊が含まれ,徘徊行為は痴呆老人の異常行動として多く認められ3-5),転倒による骨折,交通事故,行方不明になるといった高齢者本人の危険と,常に眼を光らせていなければならない介護者の負担の両面により,痴呆高齢者における大きな問題点となっている.その結果,徘徊は施設入所の主要な原因6)となっている.施設入所している徘徊痴呆老人の骨折予防の方法としては,運動機能の向上による転倒回数の抑制,骨量の増加,環境整備,ヒッププロテクターの着用による転倒時の衝撃緩和などが考えられる.アルツハイマー型痴呆の骨量低下については骨代謝異常説7)もあるが,廃用により発生するという報告も多く,必ずしも意見の一致は得られていない.廃用により生じるのであれば,歩行量の多い徘徊老人では,骨粗鬆症は軽度であるはずである.しかし,徘徊と骨量および運動機能について論じた報告は,渉猟した限りでは認められなかった.
そこで本研究では,骨折のハイリスクとされる徘徊傾向のある痴呆高齢者における骨折予防の方法として,運動機能の向上や骨量の増加が有効であるか否かを考えるために骨量測定と運動機能検査を行い,徘徊の有無別で骨量を比較検討した.
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