特集 BPSDを診ていく
【地域でよくみられるBPSDにまつわる事項】
徘徊
坂戸 慶一郎
1,2
1青森民医連家庭医療学センター
2あおもり協立病院内科
キーワード:
徘徊
,
person-centered care
,
介護者の燃え尽き
Keyword:
徘徊
,
person-centered care
,
介護者の燃え尽き
pp.794-798
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101793
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Case
徘徊をする目的に沿った対応の工夫で徘徊が改善した1例
患者:70代,男性.アルツハイマー型認知症.
経過:自宅で息子夫婦と3人で生活しており,訪問診療による在宅診療を行っている.室内ではつかまり歩きが可能で,主に嫁(息子の妻)が介護をしている.
最近,夜になると「仕事に行かなければならない」と家のなかをうろうろするようになった.当初,家族は戸惑い「仕事なんかあるわけないでしょう!」と本人を諭して対応していたが,本人は納得せず,徘徊はたびたび起きていた.訪問診療では,本人の考えを尊重した対処法につき家族と相談し,念のために少量の抗精神病薬を渡しておいた.
その後も同様の徘徊がみられたが,嫁が「じゃあ着替えを取ってくるから部屋で待っていてください」とか,外を見せて「まだ朝も早いみたいだから,もう少し明るくなってからにしましょうか」などと対応すると,本人は納得して部屋に戻るようになり,そのうち徘徊そのものもあまり起こらなくなった.
結局,渡しておいた抗精神病薬は一度も使用しなかったようである.
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