連載 老人看護展望—欧米研修より・1【新連載】
抑制と徘徊 ウソとホント
阿部 俊子
1
1イリノイ大学シカゴ校看護ポストマスターコース
pp.84-87
発行日 1995年1月1日
Published Date 1995/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904730
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
アメリカのナーシングホームの医療的治療の必要な老人の41%はベッドか椅子に抑制されいる(HCFA, 1988).そして急性期病院の老人患者は22%が抑制されいる(Robbins, et al, 1987).
1993年12月に,筆者は北欧の老人施設を3週間研修した.このとき驚いたのは,抑制老人がナーシングホームにまったくいないということだった.ADL(日常生活動作)や痴呆度が軽度なのではない.いわゆる「リストレインフリー(Restraint Free)」抑制フリー環境だ.研修先のスウェーデン・オットボーイ市のナーシングホームの施設長ウラ・ツレマークさんは,アメリカに何度も抑制の講演に出かけている.アメリカでは,なかなかナーシングホームでのリストレインフリーを信じてくれないとのことであった.アメリカで働きながら勉強している筆者には,アメリカ人のリストレインフリー不信は納得のいくことだった.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.