研究報告
徘徊多動を呈する痴呆患者のケア—『Outdoorアクティビティ・ケア・プログラム』と『徘徊付加食』の有用性
前場 幸登
1
,
進藤 由美架
2
,
原田 和子
2
,
渡辺 福子
2
,
梅田 由子
2
,
奥嶋 実江
2
,
竹内 たみ子
2
,
土居 智美
2
,
末丸 修三
2
1福山友愛病院神経精神科・痴呆性老人病棟
2福山友愛病院
キーワード:
痴呆患者
,
徘徊多動
,
Outdoorアクティビティ・ケア
,
栄養管理
,
俳徊付加食
,
高齢者ケアプラン
Keyword:
痴呆患者
,
徘徊多動
,
Outdoorアクティビティ・ケア
,
栄養管理
,
俳徊付加食
,
高齢者ケアプラン
pp.357-368
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900466
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はじめに
最近,さまざまな施設で痴呆高齢者に対して種種のレクリエーションやアクティビティ・ケアが提供されている1)。それらは痴呆随伴症状や問題行動に相当な効果を与えるという確信もないままに,単なる気分転換の一助として,あるいはルチーン業務として施設の屋内(Indoor)で漫然と行なわれていることが少なくないように思われる。しかし,対照的に,‘Outdoor’(屋外)志向は,まさしく,閉鎖環境からの痴呆患者の開放化への扉を開いたのである。すなわち,筆者らは目的意識をもって,独創的な『青空緑芝Outdoor病棟プログラム』を考案した。それは,10項目のレクリエーションメニューからなるもので,そのプログラムメニューを用いる『Outdoorアクティビティ,ケア』を連日実践し,その精神・行動系,内分泌系および免疫系に及ぼす長期効果を検討した。そして,快適なOutdoorの自然環境でのプログラムの実践は,痴呆患者において,さまざまな問題行動の減少,正常な内分泌日内リズムの保持,感染防御能の増強に有効であり,さらに,患者-スタッフ間のコミュニケーションを増やし,お互いのQOLが高まることを明らかにし,報告した2-4)。
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