焦点 看護におけるQOLの研究[2]
原著論文
一人暮らしの女性老人のクオリティ・オブ・ライフ—自己概念とLife Satisfactionを中心にして
田村 やよひ
1
1東京大学大学院医学系研究科保健学博士課程
pp.249-264
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900082
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はじめに
高齢化社会の進行に伴い,一人暮らし老人が増加している。その数は1990年現在で約161万人,65歳以上の老人のいる世帯の14.9%である1)。なかでも女性の一人暮らし老人は男性に比べて非常に多く,2000年には男性41万人に対し,女性は155万人になるであろうと予測されている2)。また,女性は男性より平均寿命が長いため,一人暮らしの期間も長期化し,生活基盤の弱体な者が多い3)。
Magaziner, J. ら4)は,一人で暮らしている老人の健康問題がほとんど知られていないこと,研究的な関心もほとんど払われていないことを指摘している。この傾向は我が国においても同様であり,医学,看護学,老年学などの雑誌に一人暮らし老人を扱った論文が登場してきたのは,おおよそ1980年以降である。それは,一人暮らし老人が一定の大きさの集団に成長してきたことにより,注意を引くようになったからであろうと考えられる。
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