焦点 看護におけるQOLの研究[1]
綜説
クオリティ・オブ・ライフ(QOL)その概念的な側面
黒田 裕子
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護科
pp.98-106
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900070
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はじめに
Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ以下QOLと略す)が保健医療の領域できわめてポピュラーな概念として台頭してきて久しい。QOLという概念が,英語のままで流布し,今や市民権を得ているが,このこともこの概念の持つ特性を示しているのだろう。
この概念自体の起源は1960年代に当時米国の大統領の国家施策の中にみることができる1,2)。つまりそれは,一国のある程度の経済成長の果てに追求する「国民の暮らしの豊かさ」を総称する概念であったようだ。社会的経済的な指標としての位置づけが生誕の地である。その後,時代の変遷とともに,この概念はその包括的で統合的な含意をもつ特性から,社会経済的な色彩を越えた形で,多領域において使用されるに至っている。
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