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課題設定
ヘルスヒューマニティーズ(Health Humanities)は,health and well-beingを目的にart and humanitiesを方法とする実践的学際領域であり,とくにアート(art)をperforming(演ずる,行う),creative(創造的,創作的),expressive(表現的,表出的)の点から特徴づける。また,形態としては個的な活動というよりもグループ(小集団)が重視されているようで,参加者間での相互作用のダイナミズムが組み込まれている。
ヘルスヒューマニティーズにおけるアートには多種多様なプログラムが含まれるのだが,とりあえず次の3タイプに分類して本稿での議論を進めたい。第一カテゴリーはセラピー系で,音楽療法や絵画療法などのように理論と方法面でセラピーとして体系化され確立されているもので,creative writingや演劇などまでを含む。第二カテゴリーはアクティビティ系で,地域社会の文化資源である美術館や図書館で実施される参加型のものでコミュニティ志向のもの,そして第三カテゴリーは,調理やガーデニングなど日常生活上の行為を対象とするI・ADL系(Instrumental ADL:買い物などの操作的日常生活行為とActivities of Daily Living:心身面での日常生活動作)となろう。いうまでもなくこれは大雑把な分け方で,美術館での絵画鑑賞プログラムやcreative writingのように,実践の内容と場によってカテゴリーをまたぐことは少なくないが,主たる特性からの分類により,多様性と種類の多さを確認しやすくしておきたい。対象者も一様ではなく,これに担当者の資格要件や研修内容が加わるし,アドホック的に考案されるものまでが含まれる。狭い意味でのアートではなく,これらをまとめてアート・プログラムと総称する。
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