特集 批判的実在論とは何か
批判的実在論を学ぶ—看護研究者の立場から
蛭田 明子
1
1湘南鎌倉医療大学看護学部
pp.180-184
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201977
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批判的実在論は,「社会的現象を生み出す因果的なメカニズムを明るみに出すことによってそれらの社会的諸現象を説明することが,〔科学的な〕研究の基本的な仕事」だとする(Danermark, Ekström, Jakobsen, & Karlsson, 2002/佐藤監訳,2015, p.4)。よって,批判的実在論の問いは,「この現象を生起させているメカニズムは何か」である。この問いを立てるとき,問いの出発点となる現象は,私たちが経験している出来事である。しかし,そのメカニズムはわかっていない。わかっていない→明らかにする,と短絡的に考えてしまいそうだが,批判的実在論ではそのメカニズムを私たちは「知り得ない」,と前提を置く。そうであるならば,いったい私たちは研究により何を知り得るのだろう?
まだ学びの途上にあり私見を述べるほどの段階に至っていないのだが,本稿では批判的実在論を学び始めて考えたことを,簡単にまとめてみる。
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