特集 看護研究における報告ガイドライン2
看護研究で念頭に置いておきたい報告ガイドライン30
Developing a methodological framework for organisational case studies: a rapid review and consensus development process—組織のケーススタディの方法論的フレームワークの開発:迅速レビューとコンセンサス形成プロセス
本田 順子
1,2
,
深堀 浩樹
3
1兵庫県立大学看護学部看護学科専門教育生涯広域健康看護講座小児看護学
2神戸大学大学院経営学研究科専門職大学院(MBA)
3慶應義塾大学看護医療学部老年看護学分野
pp.150-151
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201751
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
概要
ケーススタディは,単一もしくは複数の事例を詳細に調査する研究方法であり,実際の活動や行動を理解するために使用されるアプローチである。組織のケーススタディを適切に実施すれば,他の研究デザインでは簡単にはできないヘルスケア組織の組織的変化に関する洞察(サービス提供の促進要因や障壁を特定したり,サービス提供への背景要因の影響を理解しやすくするなど)を得ることができる。そのため,組織のケーススタディは主に急性期医療,プライマリケア,メンタルヘルスサービス,高齢者施設でのケアなどを対象とした研究で用いられている。しかし,組織のケーススタディの方法は明確に説明されていないことが多い。ヨーク大学のRodgersらは,英国のNational Health Service(NHS)の関連組織においてケーススタディを行なう際の「報告基準」の開発をめざして,迅速レビューにより選択された25文献から方法論として報告されている項目を抽出し,専門家を対象としたデルファイ法によって,「あらゆる“組織のケーススタディ”において必ず報告する必要がある」とされた13項目を明らかにした(Rodgers et al, 2016)。なお,項目抽出に使用されたケーススタディは,主に英国で実施されている研究であった。
この13項目は,組織のケーススタディを実施し,その結果を発表する際に報告すべき内容であり,研究において方法論を明確にすることに役立つ報告基準である。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.