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概要
医療の質改善取り組みの報告に関する初期の取り組みとしては,1999年の「質改善報告ガイドライン」(the quality improvement reports:QIRs)がある。これは,医療の質,安全の改善のための系統的な取り組みを報告するための基準として作成された報告ガイドラインである。その後,医療を改善するために何がなされたのかということ,そしてその作業の研究を報告するための報告ガイドラインとして,医療の質改善取り組みの報告のためのガイドライン(Standards for Quality Improvement Reporting Excellence:SQUIRE 1.0)が2008年に公表され,数々の医療の質改善取り組みの報告が広く一般に理解されるようになった。特に,SQUIRE 1.0が質改善のための基礎的な理論の理解,アウトカムへの文脈的要因の影響,質改善の研究のための方法論の開発に与えた影響は大きい。こうした背景を踏まえ,よりシンプルで明確かつ精確に,そしてより医療の質改善のアプローチに関連させて使いやすくするために,改定版SQUIRE 2.0が作成された(Ogrinc et al., 2016;Goodman et al., 2016)。この改定では,医療の質改善活動に関わるさまざまなステイクホルダーが関与した。
SQUIRE 2.0は,医療の質,安全,価値(value)を向上させるための系統的な作業を記述するために作成されたガイドラインである。ガイドラインは特定の状況で用いられることを考慮しつつ,医療の質改善を目的とした介入の影響について質的・量的評価の報告をすることを念頭に置いて作成されている。その活用においては,例えばTIDieRのような他のガイドラインと合わせて用いることも可能である(TIDieRについては,本特集,112—113を参照されたい)。また,時には研究者が実施した質改善活動において,あまり関係しない項目もあるかと思われる。その場合は,ぜひSQUIREガイドライン,E&E,そしてウエブサイト(http://www.squire-statement.org)を参照し,自身の研究報告において必要な項目を確認して報告していただきたい。
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