特集 質的統合法の現在─グラウンデッド・セオリーとの比較を中心に考える
質的統合法(KJ法)とグラウンデッド・セオリー
─座談会─質的統合法(KJ法)とグラウンデッド・セオリー
正木 治恵
1
,
野村 俊夫
2,3
,
小島 通代
4
,
山浦 晴男
1,5,6
1千葉大学大学院看護学研究科
2Nomura Dimensions Ltd.
3山口大学
4元東京大学大学院医学系研究科
5情報工房
6看護質的統合法(KJ法)研究会
pp.202-211
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201372
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なぜ質的統合法(KJ法)とグラウンデッド・セオリーか
正木 質的統合法(KJ法)は,2008年に『看護研究』誌で2号にわたり特集が組まれました。以来約10年が経過し,質的統合法(KJ法)がどのように発展的に展開しているかをまとめる趣旨で本特集を企画しました。この対談では,同じ質的研究の方法として用いられるグラウンデッド・セオリー(以下,GT)との比較を通して,質的統合法(KJ法)の理解を深めたいと考えています。自己紹介を兼ねて,野村先生から,質的統合法(KJ法)とGTとの比較というテーマの端緒からお話しいただけますでしょうか。
野村 私は1969年に東京工業大学に入学し,山浦晴男先生とともに,KJ法の創始者である川喜田二郎先生の第1回目の移動大学註1に参加しました。それがKJ法との出会いです。博士修了後,現在まで30数年間,主にイギリスで研究開発とイノベーションの仕事に携わり,近年はKJ法を英語で指導しています。この過程で山浦先生と再びお会いし,KJ法について話す機会が増えました。千葉大学との共同の取り組みや,学生の英語論文が受理されにくいことなどを伺いましたが,実際論文を拝見すると,記述の多くがKJ法の説明に割かれていました。つまりKJ法自体,海外ではまだ十分に知られていないということです。現在も,レビュアーから「KJ法とはどのようなものか?」と聞かれることが少なくないとのことですし,私自身,英語でKJ法を教えるのは苦労します。
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