特集 質的統合法の現在─グラウンデッド・セオリーとの比較を中心に考える
扉
正木 治恵
1
1千葉大学大学院看護学研究科
pp.201
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201371
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2008年,筆者は本誌にて「科学的な質的研究のための質的統合法(KJ法)と考察法」と題する特集を2号にわたり企画した。以来約10年が経過し,質的統合法を用いた研究は各学会等でもみられるようになり,看護界でも浸透してきているように思われる。そこで本号特集では,今後のさらなる進展に向け,質的統合法が現在どのような形で発展的に展開しているかをみることとした。
そのための1つの方法として,グラウンデッド・セオリー,特にB.G. Glaserの提唱したクラシック・グラウンデッド・セオリー(以下,クラシックGT)との比較を試みることとした。質的統合法の源流であるKJ法には,「発想法(abduction)」という大きな根幹がある。またクラシックGTには,「発見(discovery)」「浮上(emergence)」という概念がある。両者ともに,創造性をそのダイナミズムの土台に有している点で共通するものがあり,両者を比較することで,質的統合法の実際や意義が改めて浮き彫りになるのではないかと考えた。これが,本企画のきっかけである。
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