研究ノート
グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた研究によって看護学が得るもの—『質的研究の基礎;グラウンデッド・セオリーの技法と手順』を読む
萱間 真美
1
1東京都精神医学総合研究所
pp.251-255
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900509
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はじめに
質的研究という言葉には,看護の研究者に多くの期待を抱かせる魔力があるのかもしれない。確かに,これまでの定量的な研究では現実の看護という現象そのものを,リアルに,丸ごと扱うことができないと感じている研究者にとっては,質的研究はそれを可能にしてくれる道具となりうる可能性をもっていると言えるだろう。
しかし,それが研究である以上,研究課題の焦点化と,その課題に応じたデータ収集方法の選択,そして一貫した視点をもった分析,解釈が必要である点において,質的研究は研究者の緻密な努力を要求するものであって,決して魔法の研究方法ではない。ただ,研究課題が量的研究に比較すると動的な相互作用のプロセスを含むことが可能であるという特色をもっている。
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