特集 遠隔看護とイノベーション─在宅医療の新展開
遠隔看護におけるデバイス開発と応用事例
荒木 大地
1
,
浅野 美礼
2
,
川口 孝泰
2
1筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程
2筑波大学医学医療系
キーワード:
デバイス
,
生体情報
,
複雑系科学
,
時系列データ
Keyword:
デバイス
,
生体情報
,
複雑系科学
,
時系列データ
pp.129-135
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201074
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はじめに
本稿では,遠隔看護で利活用するためのデバイスとして,筆者らが開発している機器や手法について報告する。遠隔看護において注目すべきことは,遠隔地域に向けた看護を可能にしている部分だけではなく,身近にいる多くの対象に看護が提供でき,かつ医療の介入が必要な対象を探し,正確に判断することが可能となる機能を有するという点にある。そのための手段として,対象自身の自己管理を促すとともに,対象自身が生体情報を正確に測定できる簡便な機器と,新たな解析手法の開発が重要である。特に生体情報(バイタルサイン情報)は,対象の健康状態を看護師が判断するために非常に重要な情報である。遠隔看護においては,医療者が測定する精度と同等かつ簡便な計測機器の開発が求められる。
中島,南部,田村(2001)は,日々の生体情報の計測に関して,「生体を傷つけず(無侵襲計測),日常生活の自由行動を妨げず(無拘束計測),できれば計測されていることを意識させない(無意識計測)状態で自動的に計測されることが望ましい」としている。医療の場において使用される多くの測定用デバイスは,対象の一瞬の生体情報の変調をとらえられるかどうかが重要である。しかし日常生活で,医療用のデバイスをそのまま使用することは計測手技上においても困難である。また対象自身で計測する場合には,精度のみならず使い勝手重視のデバイスが求められ,対象の日常生活に溶け込んで,違和感なく使用可能な設計の工夫が重要となる。
本稿では,筆者らが検討している遠隔看護における測定用デバイスについて,いくつか紹介する。
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