特集 看護研究から政策をうみだすために
政策につながる看護研究の実践─少子化社会における妊娠・出産・子育てにかかわる政策に向けた研究
福島 富士子
1
1東邦大学看護学部
キーワード:
切れ目のない妊娠・出産支援の強化
Keyword:
切れ目のない妊娠・出産支援の強化
pp.43-51
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201058
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はじめに
平成15年から始まった厚生労働科学研究政策科学推進事業「少子化における妊娠・出産に関わる政策提言に関する研究」において,筆者らの研究班は,抜本的な少子化対策として,現代科学的な価値観の中で切り捨てられてきた相互関係性の継続の回復が必須であることを提起した。とりわけ高出生率の宮古島・多良間島モデルの分析・考察から,従来の行政による子育て支援策以上に,地域で世代から世代へと継承される子育て風土が,多産要因として大きな影響力をもつことを明らかにした。
筆者らは,自治体の現状と課題を調査分析し,政策提言と同時に先駆的モデル開発を実施,評価し,また新たな政策を提言していく,そして政策提言を政策につなげ,さらに政策の実現を住民,関係者間で協働し実行していく─そのような,机上の空論ではない,実社会に働きかける研究をこれまでめざしてきた。自治体の住民とともに,市民感覚をいかし,市民を主人公にした市民共同参画型研究を現在も続けている。本稿は,その1つの研究活動の事例として報告するものである。
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