Methodology
看護研究におけるグラウンデッド・セオリー・アプローチ(Grounded Theory Approach)
稲岡 文昭
1
,
樋口 康子
1
1日本赤十字看護大学
pp.320-325
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200931
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はじめに
わが国の看護研究は,主に,事例研究,調査票や面接に基づく調査研究,実験研究などの手法が多く用いられている。しかし,今までのところGrounded Theory Approachに基づく研究は数少ない。看護は,単に医学的な問題だけでなく,多様な心理社会的な問題を有する"生きた"対象および対象に関連する諸々の現象にかかわり合っている。これらの臨床看護上の諸現象を的確にとらえ,また,看護独自の理論を構築し,それを日常の看護ケアに生かしていくには,今まで自然科学の領域で主に用いられていた実証的研究結果からでは無理があり,また,他の学問領域の"借物"の理論では適切でなく,また不十分でもある。Grounded Theory Approachは,これらの弱点を補う研究手法である。そこで本稿では,日本赤十字社幹部看護婦研修所同窓会の夏期研修に昨年,一昨年と招かれ来日した米国コロンビア大学ティーチャーズカッレジ教授デヴィッツ博士の講演と看護研究におけるGrounded Theory Approachに関する海外の文献を参考にし,今後,看護研究の一手法として非常に重要になってくると思われるGrounded Theory Approachに基づく研究について概観したいと思う。
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