英語論文へのアプローチ
文献研究としての「綜説」(1)
内海 滉
1
1千葉大学看護学部附属看護実践研究指導センター
pp.316-319
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200930
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「綜説」とは,英語ではreview,ドイツ語ではÜbersichtという。原著originalに書かれている事実や現象をいろいろ集めて論ずる論文である。原著は,それを書いた著者が自分で実験をし,調査をし,そしてそれをまとめて考察したものであるが,綜説は原著に対して論評するだけで,それを書いた著者自身は自分で実験をしたり,調査をしたりしてはいないわけである。だからといって決して楽なわけではない。一編の原著を批評することとて並大抵のことではない。それを書くのと同じくらいの時間を,あるいはもっと多くの時間と労力をかけることさえある。一般に,綜説となると,いくつもの原著を並べて,比較し,批評し,さらには現代の当該研究の動向といったようなことにまで論議を進めねばならぬのであるから,よりすぐれた能力を必要とする。もちろん,綜説を書く人は,一度や二度は,同じような実験や調査を若い頃に(綜説は多くの場合,老成してから書く)やったことがある人でなければできないであろう。わが『看護研究』でもしばしば綜説に出会うことがある。よく読んでいて,正当に評価し,遠い将来までも見通しているような綜説を書く人は,本当にその研究を愛している人である。1つ1つの原著を限りなき愛情を込めて熱心に読まなければ,きめのこまかい綜説は書けない。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.