連載 日本の乳信仰 総論 おっぱい神社・おっぱい寺・乳銀杏・乳地蔵・乳神様を記録する・5
資料にみる乳信仰とその存続・今後の課題
奥 起久子
1
,
野口 智子
1
,
地本 淳子
1
,
内岡 恵
1
,
瀬川 雅史
1
1おっぱい神社等を記録するワーキンググループ
pp.562-565
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202070
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乳信仰と社会・経済活動
乳信仰は個人的な祈願というだけでなく,「講」*という形で地域との組織的な結びつきがあった。現在も講活動が残っていて,観音講の日には構成員である女性が乳神様に祈願して回るという場所がある1)[図1]。イチョウのチチや樹皮が譲渡されたり販売されたりした可能性については第3回(2022年3号)に記載したが,宮城県白石市にある越河の乳神さまの講では,収入をプールして貸付けを行い収益を得ていたという。帳簿には「何十円」という当時としては大金の書き込みがあり,地域の経済活動の一翼を担っていたことが分かる。ここでは昭和40〜50年代(1965〜1984年頃)まで,集落の講活動が行われていたそうである[図2]。
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