実践報告
産科・周産母子センターにおけるグリーフケアの取り組み—委員会活動の実際と今後の課題
太田 絢
1
,
鎌田 展子
1
,
三上 薫子
1
1北海道大学病院 産科・周産母子センター
pp.552-559
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202068
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近年,医学の進歩により出生前診断が発展し,妊娠早期から染色体異常の診断がされている。また,超音波機器の技術向上により,胎児の形態異常の診断が可能となり,治療成績の向上につながっている。その一方で,救命困難な症例や予後の厳しい症例を出生前に診断するため,妊娠中の家族に大きな悲しみと動揺をもたらすことがある。
当院は高次医療施設であり,「遺伝出生前診断外来」を実施していることから,他施設からの紹介も多い。当院で遺伝カウンセリングやさまざまな検査を受け,その結果ご夫婦・家族の意思により妊娠の中断を選択する事例や,子宮内胎児死亡により死産する事例も少なくない。胎児の予後が不良であることが判明後,児の生命力を信じ,最大限の治療を行う選択や積極的な治療はせずに家族で過ごす時間を大切にする選択など,どの事例も家族で思い悩みながら意思決定を行っている。
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