連載 災害時の母子保健 妊産婦を守る助産師の役割・5
避難所巡回妊産婦健診とアセスメント・シート(2)
吉田 穂波
1
1国立保健医療科学院生涯健康研究部
pp.482-485
発行日 2013年6月25日
Published Date 2013/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102495
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妊婦を手厚く守るために
妊婦は被災地で,最も気にかけなければならない弱者であり,出産は自然行為ではあるものの,大変リスクの高い事象を迎えることも予測されます。また,居場所と安否,状態を誰も把握できない集団でもあります。私はこれらのことを行政に伝え,即座に対応してもらえるように,県庁の医療整備課,子育て支援課を訪ねました。
公共政策について当時何も知らなかった私は,臨床医である自分ができることは,お産難民を生じさせないための体制づくりについて自治体にアラート(警報)を出すことだと考えていました。しかし,自治体は自治体で疲弊し,母子保健に回せるマンパワーもエネルギーもありません。災害時対応という不慣れで負荷が大きい感情労働にパンクしてしまい,母子のことまで手が回らなかった印象を受けました。
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