元外科医,スーダン奮闘記・13
巡回から拠点診療所へ
川原 尚行
1
Naoyuki KAWAHARA
1
1NPO法人ロシナンテス
pp.695-697
発行日 2007年5月20日
Published Date 2007/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101703
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助っ人ドクター
今年はじめから,日本から3か月の予定で助っ人の女医さんが来てくださっている.矢野和美先生である.矢野先生は「国境なき医師団」での経験を有し,現在はHUMAのメンバーで,ネパールやパキスタン,インドネシアでの活動の経験がある.もともと欧米系のNGOの一員としてスーダン南部で活動予定であったが,治安の悪化などの状況によってこの団体が男性医師を要求してきたために,南部での活動から,ロシナンテスの参加となった.ある意味,この治安悪化がロシナンテスに幸運をもたらしたのかもしれない.矢野先生のお父様が私の高校の大先輩であり,ロシナンテスを応援してくださっている関係上,われわれの団体に関心を持ってくださったとのことである.
さて,彼女が来たのはよいが,スーダンでの事務所兼住居は男所帯であり,何しろ汚い.最初の日に,この布団で寝てくださいと渡したものが,どうも臭くて寝られなかったらしい.次の日,臭いと言われるので,私と霜田,それに竹友が匂ってみると,誰も臭いとは言わない.何せ自分たちの匂いだからである.それでは,外に干しましょうと私が言い,外に持ってかけてみた.すると,何とその布団にハエがたかっているではないか.やはり,われわれに汚物が染み込んでいたに違いない.霜田は「ラグビー部の部室エキスですよ」と言う.その通りかもしれない.
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