連載 周産期の生命倫理をめぐる旅 あたたかい心を求めて・6
臨床現場における子どもをめぐる生命倫理の特殊性(Ⅱ)
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学
pp.478-481
発行日 2013年6月25日
Published Date 2013/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102494
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親権の考え方
親権とはなんであろうか。堅苦しいが民法上の定義でみると,「成年に達しない子を監護・教育し,その財産を管理するため,その父母に与えられた身分上および財産上の権利・義務の総称」とされている。
親と子の関係においては,母親において知られている母子相互作用だけでなく,父親においても子どもを育てる愛情の交流という人間的な喜びがあることは言うまでもない。しかし歴史的に子どもは,親(戸主)の財産であり労働力であり,投資的価値がある存在(家の財産や伝統を守り,将来的に親を擁護してくれる)として家と親に付属していた。つまり,親権が父権と呼ばれたことからもわかるように,それは子どもに対する支配権の様相を持っていた。
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