連載 周産期の生命倫理をめぐる旅 あたたかい心を求めて・5
臨床現場における子どもをめぐる生命倫理の特殊性(Ⅰ)
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学
pp.394-397
発行日 2013年5月25日
Published Date 2013/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102470
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周産期医療の対象となる胎児や新生児を語る前に,より一般的な「子どもをめぐる生命倫理」について考えてみよう。その基本的な倫理学的素養は,胎児・新生児に演繹されうる。
生まれながらにして人間に備わっている基本的な権利である人権について,なぜ子どものみ特別に論じられなければならないのであろうか。それは,子どもの判断能力が不十分であり,前回解説した倫理的判断を下すのに重要な自律性(autonomy)を発揮できないという事実だけでなく,「子どもの権利」を問題にすること自体が比較的新しい議論であることに起因する。
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