連載 ちょっとオランダまで 周産期ケアと助産活動の実際・4
異文化の中にみる挨拶というコミュニケーション―状況知覚と異文化間コミュニケーションの文脈から【前編】
滝沢 美津子
1
1山梨県立看護大学
pp.974-979
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100993
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文化とコミュニケーション
「文化」とか「生活環境」という用語を使う場合には,慎重さが求められます。「文化」という言葉で括ってしまえば,その中には私たちの生活の全てを包み込むことができてしまいそうです。また,文化は「生活環境」そのものですから,この「生活環境」という言葉でも,私たちの生活全てを包み込んでしまうことができるでしょう。「文化」や「生活環境」という言葉を使えば,私たちの身の回りにある形の有るものも無いものも,全てその範疇に置くことができてしまいます。
以前,私は「文化とは日常生活である」と書きました。そして日常生活は,若干の例外を除いて,そのほとんどがコミュニケーションに関連する行為で構成されているといっても過言ではありません。Alfred G, Smith(1966)は「コミュニケーションの様式は生活様式そのものである」と述べています。私たちが日常一般的に行なっている行為(コミュニケーション行為)は,その人が生活する背景を物語り,ひいてはその人が身を置いている文化そのものを照らし出しているともいえるのです。
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