特集 助産師による性教育を実現するために
[総論]実りある性教育を実現するために―施設で働く助産師の役割と課題
佐山 静江
1
1獨協医科大学病院看護部
pp.287-292
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100704
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はじめに
母子保健は,生涯の健康の基礎となるものであり,日本において「健やか親子21」や「次世代育成支援法」の制定など母子保健関連のニーズへの対策が立てられ,助産師の役割の拡大が求められている。母子保健に関連した政策策定の背景には,母子とそれを取り巻く人間関係や環境,健康教育のあり方などの問題が絡み合って浮上している現実があり,問題解決と予防措置が喫緊の課題として求められている。
母子保健の問題の1つに10代の人工妊娠中絶の急増,性感染症の増加などがある。
筆者らは施設に働く助産師と男性看護師とともに小・中・高校などで学校の先生(養護教諭,保健体育の先生,校長先生など)や,地域の保健師と連携をとりながら性教育にかかわっている。そして,命の誕生に立ち会っているからこそ性(生)教育の重要な一員として助産師が必要であることを実感している。また,日本の文化において男子の思春期教育には男性看護師の活動が効果的であることも実感している。さらにその副産物として,院内での母子へのかかわり方が“生”を大切にしていけるような内容に変化してきている。
生命の誕生に携わっている助産師に,院外でどのような活動が求められているだろうか。院内での母子ケア,助産ケアで補うべきことは何だろうか。男性看護師には何が求められているだろうか。思春期教育を担う職種とどう連携をとって,それぞれがどのような役割を果たすことが専門性を発揮した活動につながるだろうか。本稿ではこうした問題について実践をとおして得た知見から,実りある性教育を実現するために助産師にできることは何かを考えてみたい。
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