連載 「わかる」から「できる!」に変わる臨床研修・2
キャリア開発ラダーシステム
井本 寛子
1
,
田中 律子
2
1日本赤十字社医療センター105棟
2日本赤十字社医療センター分娩室
pp.990-998
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100437
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はじめに
私が分娩室で新人助産師としての一歩を踏み出した頃,「分娩室お茶の間ノート」という一冊のノートがありました。そのノートは,各勤務帯で「心に残った場面」を10行程度記入して,その勤務帯にいなかったスタッフに「できごと」を伝える役割がありました。そのノートに記入するのは新人だった私だけでもなく,その日のリーダーでも,また何か失敗をした人というわけでもありませんでした。その勤務帯に「心に残った場面」を経験したスタッフが,そのレベルを問わず記入したものでした。
そして,そのノートを読んだスタッフは,各々の意見や思いをノートが全面ぎっしりになるくらい書き込みました。そのフィードバックは多岐にわたるアドバイスで,新人だった私はそのノートを記入し,フィードバックを受けることで,また,先輩の事例を読むことで多くのことを学んだのです。
いま思えばこの「お茶の間ノート」こそ,私と「ナラティブ(語り)」の出会いでした。
今回は,この「ナラティブ」を重視した教育システムでもある,日本赤十字社医療センターのキャリア開発ラダーについて紹介したいと思います。
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