連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・49
保健師のキャリアラダーを組織のものに—能力の到達度をどう見るか
中板 育美
1
1日本看護協会
pp.607
発行日 2017年7月10日
Published Date 2017/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200732
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「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」が,2016年3月に厚生労働省から発出されているのはご存じだと思います(『保健師ジャーナル』2016年10月号でも特集されました)。保健師のキャリア形成プロセスが,年数ではなく能力で示されたこと,さらに専門能力と管理能力が複線のキャリアラダーとして明示されたことは,少なくとも保健師が行政組織内で保健医療スタッフの一員としてどのように役立つのか,あるいは管理者として役立つための育ちをどのように進めていくかを,事務官等,組織に理解してもらう方策としても意義のあることでした。
昨年度から,既存の人材育成計画等の見直しと並行して,キャリラダーの導入について検討を開始しているいくつかの自治体の取り組みを伺っています。この検討は人事担当者の理解や協力も得ながら進められているようです。示した能力とその獲得手段,つまり職場内外の研修やジョブローテーションなどと連動させることで,人事担当者から「分かりやすい」と評価されたとの声もあるようです。一方で,議論を重ねていくうちに,達成したい能力は理解できても,その能力を「誰が,何を尺度に,どう評価するのか」など具体的な事項についての疑問が湧き始め,特に,評価基準の必要性が切実になることも伺っています。
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