特集 地方自治体と公衆衛生—総合性と専門性の確保
自治体保健師の人材育成の現状と課題,そして期待—キャリアラダーを中心に
岡本 玲子
1,2
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
2大阪大学大学院公衆衛生看護学教室
pp.314-319
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208872
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自治体保健師の人材育成の現状
自治体保健師の人材育成については,「地域における保健師の保健活動について」〔2013(平成25)年4月19日付け健康局長通知〕および「保健師に係る研修のあり方等に関する検討会(以下,検討会)最終とりまとめ」〔2016(平成28)年3月〕において計画的かつ体系的に推進する方向性が示されている1).これらを受けて,厚生労働省は各自治体の取り組み状況を把握するため,2017(平成29)年6月に,都道府県47・保健所設置市74・特別区23を対象とした「自治体における研修体制構築の推進策に関する調査」2)および,都道府県のみを対象とした「都道府県による管内市町村保健師の人材育成の取組に関する調査」3)を行った〔調査時点は2016(平成28)年5月,集合研修の実施状況については2016(平成28)年度である〕.
前者の調査によると,自治体独自のキャリアラダー(career ladder)を「作成している・作成中」とした自治体は53.4%(都道府県68.1%,保健所設置市・特別区46.4%)であり,それらの自治体では95.7%がキャリアラダーを活用していると回答していた(図1)2).この結果は,人材育成支援シートの作成・活用状況の場合でもほぼ同様であった.これは,都道府県と保健所を持つ自治体の約半数が検討会の提言を受けてすぐに動き出した現状を示しており,2017(平成29)年度はさらに増加していると推測できる.
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