調査報告
都道府県別要介護認定割合の較差と,保健師配置数および高齢者就業率との関連に関する資料
櫻井 尚子
1
,
星 旦二
2
,
中山 直子
2
,
渡部 月子
3
,
高嶋 伸子
4
1東京慈恵会医科大学大学院・医学研究科看護学専攻
2首都大学東京大学院都市システム科学研究科
3神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科
4香川県立保健医療大学保健医療学部看護学科
pp.708-715
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101939
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■要旨
本研究の目的は,都道府県別にみた要介護認定割合と関連する要因の因果構造を明確にすることである。調査項目は,各県別にみた2008(平成20)年の要介護認定割合と介護保険料を従属変数として,約5年前の人口あたりでみた保健師数,医師数,病院病床数,病院利用割合,特別養護老人ホーム在所者数とともに,県民所得,高齢者有業割合である。要介護認定割合および介護保険に関連する構造モデルを設定し,パス解析を行った。分析ソフトはSPSS 16.0 for Windows,Amos16.0 for Windowsを用いた。
分析の結果,要介護認定割合は,約5年前の人口当たりでみた病院病床数,病床利用割合,高齢者有業割合,保健師総数からなる構造モデルによって50%が説明でき,高い適合度(AGFI=0.835,NFI=0.981,RMSEA=0.053)が得られた。また,介護保険料は,約5年前の保健師総数が高齢者有業割合を高めることで抑制される要介護認定割合を経由して強く規定される因果構造モデルによって60%が説明された(AGFI=0.981,NFI=0.997,RMSEA≦0.001)。
本研究により,人口当たりでみた保健師数が多い県では,高齢者有業割合が高まり,要介護認定割合を低下させる効果を経て,結果的に介護保険料を抑制する因果構造が示された。今後の研究課題は,就労や社会参画を促す保健師活動による介入研究を実施し,介護予防因果効果を実証することである。
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