研究
最近におけるわが国の膵臓癌死亡率の都道府県格差に関する要因
角南 重夫
1
Shigeo SUNAMI
1
1川崎医科大学公衆衛生学Ⅰ教室
pp.354-359
発行日 1987年5月15日
Published Date 1987/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207477
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●はじめに
わが国の膵臓癌死亡率はイギリス,アメリカ(白人)と比べて低いが1,2),最近では男女とも上昇傾向にあり1,3),部位別悪性新生物死亡割合は男が第4位,女が第8位を占めており,都道府県間には死亡率の差もみられる4).したがって,膵臓癌対策,とりわけその格差是正対策はわが国にとっても今後の重要な課題となろう.ところが,膵臓癌との関係が疑われる要因は緯度4),気温4),水質5,6),食品7,8,9),嗜好品10〜13),糖尿病14〜16)など種々報告されていても,わが国の格差に関係する要因およびその程度については,対策を施す上でその把握が必要であるにもかかわらず,加藤ら4),方波見14)を除くとほとんど報告されていない.しかも加藤ら4)は緯度および気温が中心で,方波見14)は糖尿病訂正死亡率のみで他の項目の検討は十分でない.
そこで,最近における膵臓癌死亡率の都道府県格差の原因を多面的に探るため,都道府県別膵臓癌標準化死亡比と緯度,気象,河川水質,食品,嗜好品,体位,糖尿病,県民所得,生活保護率,病床数など膵臓癌との関連が予想される45項目との関係を調べた.
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