研究
特定保健指導における行動変容ステージ別アプローチ方法
松永 里香
1,2
,
小池 城司
1,3
,
樗木 晶子
3
1福岡市健康づくりセンター
2九州大学大学院医学系学府
3九州大学大学院医学研究院
pp.50-56
発行日 2012年1月10日
Published Date 2012/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101782
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■要旨
目的:Prochaskaらによって提唱された多理論統合モデル(Transtheoretical model:TTM)を用いてメタボリックシンドロームを対象とした行動変容ステージ別アプローチ方法を考案し,特定保健指導対象者において有効性を検討した。
方法:Prochaskaの減量版テキストを参考に,TTMの構成概念にもとづき「メタボリックシンドローム改善テキスト」を作成した。本テキストは,行動変容ステージ別に取り組めるワークブック形式になっており,「運動」「食事」および「気持ち」の3分野からアプローチを行う。「気持ち」とは自己効力感やpros(恩恵)の増高,感情コントロールのための不適切な食行動への気づき,動機付けの介入などである。本テキストを用いて,特定保健指導対象者(39例)に対して保健指導を実施した。介入期間は12週間であり,ステージごとに全6回の保健指導を実施した。評価は12週後のプログラム修了時と6か月後において検討した。
結果:介入開始時からプログラム修了時へのステージ上昇した者は29例,無変化の者は6例,後退した者は3例であった。体重・BMI・腹囲はプログラム修了時に有意に減少し,6か月後においても持続的な効果を認めた。特定保健指導における階層化の変化では,健診時に積極的支援19例,動機づけ支援19例,情報提供0例だったものが,6か月後には積極的支援10例,動機づけ支援7例,情報提供21例へと変化した。
結論:特定保健指導対象者に対して減量効果を認め,6か月後における情報提供に値する例数が増加し,行動変容ステージ別アプローチの有効性が示唆された。
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