研究
行動変容技法を用いた特定保健指導の効果―事例からの検討
工藤 明美
1
,
竹中 晃二
2
1つがる市福祉部健康推進課
2早稲田大学人間科学学術院
pp.126-133
発行日 2012年2月10日
Published Date 2012/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101800
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■要旨
本研究では,特定健診において積極的支援対象者となった男性6名を対象に,先行研究によって有効性が報告されている行動変容技法を用いて介入を行い,その効果を行動目標の達成度,介入前後の体重および生化学検査データの変化から検討した。
測定項目は,体重,生化学検査データ,行動目標の達成度とした。プログラムは,全6回(5か月間)のセッションと事後評価1回を実施した。介入には,①目標設定,②セルフモニタリング,③オペラント強化,④ソーシャルサポート,などの行動変容技法を用いた。
結果,生化学検査データでは5名中3名(A,B,C)に改善がみられ,正常範囲の数値を示した。3名に生化学検査の対象ではなかった1名(D)を加え,6名中4名が目標減量体重に到達した。その4名は,行動目標の達成見込み感を8~10点とし,目標減量体重を達成するため算出した1日あたりに減らすべきエネルギー量に対応した行動を4か月間継続的に実践した。
保健指導に行動変容技法を用いた結果,以下の3点が行動目標の継続につながり,体重減少や生化学検査データ改善に有効であったことが認められた。それらは,①行動目標の設定では,効果と実行性という二次元的な視点をもつこと,②セルフモニタリングは客観的評価のツールであること,③男性対象者には,行動変容に影響を及ぼす家族によるサポートを促すこと,であった。
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