連載 「発達障害」児のために,私たちができること・4
ささえあって,理解の輪をひろげたい
足立 佳美
1
1近畿福祉大学
pp.654-658
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100749
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
たとえば,子ども時代のニキ・リンコさん。ほかの子どもには背中があるのに,自分にはない。だから,自分は普通の子どもではないと思っていた。彼女にとって見えないものは,「ない」のである。大人になったいまでも,パーカーのフードがどこかにひっかかると,どうして動けないのか理解できない。半日じっとしていることもあるという。駅で「三列にお並びください」と書いてあると,「私ひとりしかいないのにどうしよう」と悩んでしまう1)。
たとえば,藤家寛子さん。疲れたとき,右,左と意識して足を踏み出さないと歩き方を忘れてしまう。救急車の音を聞くと耳が痛くなる。髪を切るときも,つめを切るときも痛い。雨が当たると,毛穴に針が刺さるように痛い1,2)。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.