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“ささえあい”失われつつある本来の意味を今こそ考えるべき時―「ささえあい」の人間学
西田 真寿美
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.766-767
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904617
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自己コントロール,自己決定,インフォームド・コンセント,自律,支援,共生,連帯etc.これらは現代の保健医療を社会的・文化的な文脈の中でとらえる際のキーワードとして注目され,論じられることが多くなった.社会の構造的変化に伴い,保健・医療・福祉のありかたが問われるなかで,そこに共通する理念は個人尊重の原則である.本書で展開される「ささえあいにもとづいた社会システムとは何か」を基調とする議論は,上記の理念を実態化しようとする,1つの試みといえるだろう.
5人の執筆者は生命倫理に強い関心をもつ若手研究者である.法哲学,心身医学,倫理学,仏教学,生命学という,それぞれ異なる専門分野からの立場で,自分自身のことばで議論したプロセスがそのまま編纂されている.まず最初の論者が問題提起を行ない,それを受けて次の議論が示される.さらにその全てを受けて次の論者が批判や検討を加えるという流れになっている.
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