- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■要旨
本研究は,成壮年健常勤労者を対象とし,ウエスト周囲径(以下,ウエスト)と肥満の指標,血圧および血液検査値,とくに肥満に影響されると予測される血清脂質値(血清総コレステロール値,中性脂肪値,HDLコレステロール値)と血糖値との関係について明らかにし,あわせて職場の定期健康診断時におけるウエスト測定の意義について検討することを目的とした。
健康な成人男女456名を対象とし,ウエストと肥満と血圧および血液検査値との関連について分析した。その結果,ウエストは肥満度の指標として用いられているWHR(男性r=0.85,p<0.01/女性r=0.79,p<0.01),BMI(男性r=0.88,p<0.01/女性r=0.85,p<0.01),体脂肪率(男性r=0.74,p<0.01/女性r=0.81,p<0.01)と有意な正の相関を示した。
また,ウエストは血清脂質のうち,血清総コレステロール値(男性r=0.30,p<0.01/女性r=0.21,p<0.1),中性脂肪値(男性r=0.31,p<0.01/女性r=0.46,p<0.01)と有意な正の相関を,HDLコレステロール値(男性r=-0.31,p<0.01/女性r=-0.33,p<0.01)と有意な負の相関を示した。さらに,血糖値(男性r=0.14,p<0.01)においても有意な正の相関を示した。
以上のことから,成壮年期の勤労者にとって適正なウエストを維持することは,肥満予防,ひいては生活習慣病予防につながると推察されることから,定期健康診断時にあわせてウエストを測定することは意義があると考えられた。そして,職場における健康管理では,ウエストが増加しないためのより適切な指導が必要であると考えられた。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.