特集 糖尿病患者の健康寿命を延ばす―先手を打つ実臨床
Ⅳ患者を健康に長生きさせる私の秘策
それは定期健康診断です
真山 享
1
1真山クリニック
キーワード:
①糖尿病と悪性腫瘍
,
②がん検診
Keyword:
①糖尿病と悪性腫瘍
,
②がん検診
pp.515
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101560
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糖尿病の患者を長年診ておりますと一定の頻度で悪性腫瘍の方が認められます.これは当然の話で,日本人は一生のうちで約半数がどこかのがんになり,1/3の人ががんで亡くなっています.われわれ専門医が糖尿病の患者を治療する場合,血糖コントロール,血圧,脂質,腎機能,眼底検査,胸部X線,心電図などは注意してフォローいたしますが,悪性腫瘍の検査は患者サイドからの訴えがないと,自分自身で検査ができないこと,予約検査であること,検査が大がかりになること,保険診療の制約があることなどの理由で検査が落ちてしまうことが多くあります.われわれは研究会,論文などで糖尿病の患者に悪性腫瘍が多いことを知っております1)が,普通の患者はそんなことは知らないケースが多く,日本人の場合,糖尿病で通院している方でも,担当の先生は全身を診てくれている,私の命は主治医に預けていると思っている方が多いのです.検査をして悪性腫瘍が発見され,手術ができる場合は問題ありませんが,手術不能例でご苦労なさった先生方はたくさんいらっしゃると思います.患者,家族の立場から思えば定期的に通院していたのに,なぜもっと早くわからなかったのかと思うことは当然です.しかし,通院中の大勢の患者全員に胃カメラ,胸部CT,大腸カメラ,腹部エコーを年1回行うことは不可能です.私は可能な限り,患者に年1回,人間ドックなどの検診を受けるように勧めております.
糖尿病者と非糖尿病者の発癌率を表1に示します1).
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