特集 教師に求められるもの―新たな授業実践
授業リフレクションの意義―教師の振り返りを目指して
田村 由美
1
,
中田 康夫
1
,
澁谷 幸
2
,
石川 雄一
1
,
津田 紀子
1
1神戸大学医学部保健学科
2神戸大学大学院医学系研究科博士前期課程
pp.728-731
発行日 2003年10月25日
Published Date 2003/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903496
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はじめに
近年,わが国の教育学の分野では,「教師であるとはどういうことか」という探求をとおして「教師学」の確立を図ろうとする試みがなされている1).その1つがリフレクションの考え方を用いた「自分の授業を見直す」ことである.「授業を見直す」こと,それ自体は教師として当たり前のことである.しかし,「ただ反省すればよいということではなく,授業の『何を』『どのように』見直すのかということが問題」である2).すなわち,教師も「自己主導性(self-directedness)」と「経験を貴重な学習資源とする」という特徴をもつ成人学習者3)として,教師自身の成長発達のためにリフレクション能力を修得し,それを実践することが必要である.
「リフレクション」という概念は,教育哲学者J. Dewey(1859~1952)によって最初に提示され,その後,専門家の実践の特質と責務の所在を明確に示したD. Schon(1931~1997)により,再び広く注目されるようになった.そして,近年の看護界においても,この概念を看護基礎教育ならびに生涯教育に積極的に導入しようとする試みがなされている4).しかし,リフレクションに関する筆者らの経験を含むこれまでの報告4-12)は,学生のリフレクションに焦点が当てられ,教師も学習者であるという視点が抜け落ちている.
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