研究
職場の定期健康診断における全身持久力測定の意義
中田 康夫
1
,
石川 雄一
1
,
津田 紀子
1
,
福山 美代子
2
,
谷 真里江
2
1神戸大学医学部保健学科
2富士電機神戸工場健康管理センター
pp.566-570
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100503
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■要旨
本研究は,成壮年健常勤労者を対象とし,有酸素運動状態での全身持久力と肥満の指標,血圧および血液検査値,とくに肥満に影響されると予測される血清脂質値(血清総コレステロール値,中性脂肪値,HDLコレステロール値)と血糖値との関係について明らかにし,あわせて職場の定期健康診断時における全身持久力測定の意義について検討することを目的とした。
健康な成人男性84名を対象とし,全身持久力と肥満と血圧および血液検査値との関連について分析した。その結果,全身持久力は肥満度の指標として用いられているBMI(r=-0.22,p<0.05),体脂肪率(r=-0.29,p<0.01),WHR(r=-0.23,p<0.05),ウエスト(r=-0.30,p<0.01)と有意な負の相関を示した。
また,全身持久力は血清脂質のうち,血清総コレステロール値(r=-0.27,p<0.05),中性脂肪値(r=-0.27,p<0.05)と有意な負の相関を示した。
以上のことから,成壮年期の勤労者にとって全身持久力を維持することは,肥満予防,ひいては生活習慣病予防につながり,さらには労働災害の予防にもつながると推察されることから,定期健康診断時にあわせて全身持久力を測定することは意義があると考えられた。そして,職場における健康管理では,体力の維持,とくに全身持久力の維持のためのより適切な指導が必要であると考えられた。
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