調査報告
育児実態調査から見た子ども虐待のハイリスク要因―子ども虐待を早期発見・予防するために
樋口 広美
1,2
,
坪川 トモ子
1,2
,
高橋 裕子
1,3
,
歌川 孝子
1,4
,
白川 紀子
1,5
,
山田 和子
6
1新潟県新津保健所
2現 新潟県新発田地域振興局健康福祉環境部
3現 新潟県新津保健福祉環境事務所
4現 新潟県福祉保健部福祉保健課看護介護人材部
5現 新潟県長岡地域振興局健康福祉環境部
6和歌山県立医科大学保健看護学部保健看護学科
pp.1006-1013
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100637
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■要旨
「子ども虐待の予防」を考えるにあたり,①子どもに対し「虐待行為」のある母親,②「育児不安」が強い母親,③「被虐待歴」がある母親に視点を置き,ハイリスク者として定義づけた。これらの3つの視点から,ハイリスク者の育児の実態や関連する要因,背景,育児行動を明らかにし早期発見するための観察,把握すべき事柄について検討することを目的に実施した。
新潟県新津保健所管内の11市町村で実施される乳幼児健康診査(以下「乳幼児健診」)の対象となった子どもの母親1559人を対象に,子ども虐待の予防の3つの視点および観察しやすい育児行動などについて調査を行った。
その結果,「虐待あり」の割合は4.5%,「育児不安が強い」割合は27.8%で,いずれも子どもの年齢が高いほうが多かった。「被虐待歴傾向あり」の割合は25.0%であった。また,育児不安の強い母親は虐待行為が多かった。
ハイリスク者と関連する要因,背景,育児行動として「望まない妊娠」「子育て上の心配がある」「育てにくい子」「子どもの相手をしない」「けが・やけどをよくする」「相談相手がいない」「母親の健康状態が悪い」「健診では相談できない」「夫婦仲が良くない」などの実態が明らかになった。
また,これらをもとに,乳幼児健診でハイリスク者を早期把握するための観察ポイントを検討した。
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